先行型・標準型・ゆっくり型:同じ中2でも「まだ方程式」と「もう数ⅠA」

中2の冬、同じ「中学2年生」が数学の授業で何を習っているかを並べてみます。
数学 | 英語 | |
公立中学 | 連立方程式、1次関数 | 過去形 |
私立中高一貫(標準的な学校) | 2次方程式、関数y=ax²、三平方の定理 | 現在完了、関係代名詞 |
私立中高一貫(進度の速い学校) | 中学範囲を終えて高校の数Ⅰ・数A | 同上〜それ以上 |
私立中高一貫校の進度は「公立中の1.5〜2倍」とよく言われます。ただ、これはあくまで全体の話で、一貫校の中でも学校によって1年以上の差があります。同じ中2でも、ある学校ではまだ方程式の文章題をやっていて、別の学校ではもう高校数学に入っている。今回は、この進度の違いを3つのタイプに分けて整理してみます。
3つのタイプのざっくりした目安
社内では、約30校の定期テストの実データと照らし合わせて、学校の進度を次の3つに分けています。
先行型は、中2の秋ごろ(早い学校は中2の夏)に中学範囲を終えて、高校の数Ⅰ・Aに入る学校です。中1の中間で連立方程式に入る共学校、中2で平方根・2次方程式やメネラウス・チェバの定理に入る難関男子校、最難関男子校などがここに入ります。
標準型は、体系数学を使って着実に進み、中2の冬から中3で高校内容に入る学校です。偏差値50台半ばから60前後の男子校に多いタイプで、社内ではこの中央にある学校を「基準校」にして計画を考えています。
ゆっくり型は、検定教科書と問題集で進む学校です。女子校、大学附属校、中堅の共学校に多く、高校内容に入るのは中3の夏から秋ごろ。中3の冬でも高1の内容とほぼ同じ、という学校もあります。
首都圏の私立中高一貫191校の指導体制を公開情報から調べた社内資料では、「高2までに高校範囲を修了」と明示している学校が57校、「中3(一部は中2)から高校内容に入る」と明示している学校が31校ありました。一方で、「教科書どおりの授業はしないし、高2までに高校課程を終えるという考えも持たない」と明言する最難関校もあります。速ければいい、という単純な話ではありません。
先行型の実例と、つまずきやすいところ
四谷大塚偏差値70前後の最難関男子校の中1は、6月の時点で代数が連立方程式から連立不等式まで、幾何は作図、立方体の切断、オイラーの多面体定理まで進んでいました。保護者の予想の1.5倍の速さです。
中2・1学期の中間で、代数が平方根と2次方程式(高校の数Ⅰに相当)、幾何がメネラウス・チェバ・空間の比・座標、という難関男子校もあります。50分で40問という処理量でした。
中1から体系数学を使う進度の速い男子進学校では、中3で数Ⅰの図形と計量やデータの分析を扱い、数Aを終え、中3の2学期期末から数Ⅱに入っていました。
先行型でつまずきやすいのは、「一度分からなくなると復習する時間がない」ことです。体系数学を使う学校では、中2の1学期に平方根と2次方程式まで入っていることがあり、1次関数や方程式の文章題が分からないまま進むと、取り戻す時間がほとんどありません。
標準型の実例と、つまずきやすいところ
偏差値60前後の男子進学校は、中2の秋口から高校内容に入るところが多いです。中2の秋には体系数学1・2を終え、中3で数Ⅱに入る学校もあります。偏差値50台後半の男子進学校では、数学2の範囲が終わると中2の秋から高校数学、という流れでした。
中堅から中堅上位の学校なら、「中2の終わりに数Ⅰ・A」が普通の進度です。体系数学の場合は中2の冬に高校内容に入ります。カリキュラムを事前に確認していないと、親子とも「めっちゃ早い、詰んだ」となってしまいます。
標準型のつまずきどころは、中2の2学期です。2次方程式、関数y=ax²、円、三平方の定理と、高校数学に直結する単元が続きます。夏の過ごし方で、2学期の楽さがまったく変わってきます。
標準型の学校に通う中2の例を一つ。大規模な大学附属校で、2学期中間の数学の範囲が「平方根の乗除・2次方程式」と「三角形(合同・特別な三角形・角度)」でした。その子は夏休みにブリッジスターで2次方程式を先取りしていたので、学校で始まったときに「楽」と言っていました。ところが、困っていないからと秋に先取りをサボり始めた。僕は「困っていないからやらなくていい、ではない。毎日少しずつ」と伝えました。標準型の学校では、余裕があるうちに次の単元に触れておくことが、そのまま次のテストの余裕になります。
ゆっくり型の実例と、油断しやすいところ
偏差値50前後の中堅校で、中3で平方根まで、学年相当より約3か月早い程度、という学校があります。偏差値40前後の共学校の中1は、前期の範囲が正負の数から多項式の計算まででした。女子校は高校内容に入るのが中3の夏ごろ、という学校が多い印象です。
大学附属校も、ゆっくり型が多いです。進度がゆっくりな分、つまずいても挽回はそこまで苦しくありません。
ただ、ゆっくり型の学校で注意したいのは、科目によって速さが違うことです。数学はゆっくりなのに、英語はNew Treasureで速い。あるいは、代数だけどんどん進めて、幾何はまだ手をつけていない。偏差値50台後半の女子校で、数学のテストが伝統男子進学校より難しかった例もあります。「ゆっくり型だから余裕」とは限りません。
速さは優劣ではない
ここまで読んで、「うちの学校は遅いけど大丈夫だろうか」と心配になった方もいるかもしれません。でも、僕がいつも話しているのは、速さは優劣ではないということです。
速い学校の良さは、高3を丸ごと受験演習に使えることです。でも、本人がついていけていなければ意味がありません。ゆっくりな学校は、そのぶん一つひとつを確実にできます。大事なのは、学校の速さと、本人の理解のペースが合っているかどうかです。
学校のタイプは、教材の名前でだいたい分かります。体系数学やシステム数学を使っていれば先行〜標準型、検定教科書と問題集ならゆっくり型の可能性が高い。そのうえで、年間の授業計画(シラバス)と、テストの範囲表で「今どこにいるか」を確認すれば、次に何が来るかが見えてきます。
ブリッジスターの「4つの速さパターン」
ブリッジスターでは、学校の進度と本人の目標に合わせて、中学範囲(英数)を終える時期を4つのパターンで設計しています。①中1の終わりに修了するハイペース、②中2の夏に修了する標準、③中2の終わりに修了するじっくり、④中3の夏に修了するマイペース、です。
偏差値40台後半の学校に通う中2が、夏の24日間で平方根から2次方程式、2次関数、相似、円、三平方の定理まで進め、「中2範囲を完了、9月から高校範囲へ」となった例もあります。逆に、学校の進度に追いつくことを最優先にして、中1の内容から丁寧にやり直す子もいます。
夏期講習では2学期の内容を先取りし、「学校の授業が2回目になる」状態をつくります。映像授業は体系数学とNew Treasureに対応していて、確認テストに合格したら次へ進む仕組みです。同じ中2でも、学校によって、そして本人によって、ちょうどいい速さは違います。その子に合った速さを、コーチと一緒に決めていきます。
中高一貫ブリッジスターは、私立中高一貫生のためのオンライン塾です。学校ごとの進度と定期テストの範囲に合わせた学習計画づくり、毎日の学習日報へのフィードバック、コーチとの面談、オンラインの集団勉強会や自習室で、部活や通学で忙しい毎日の中でも、家での勉強がきちんと回る状態をつくります。
「学校の進度が速くてついていけているか不安」「定期テストの前に何から手をつければいいか分からない」——そんなときは、まずLINEからお気軽にご相談ください。お子さんの学校の進度や今の成績をうかがい、いまやるべきことを一緒に整理します。
※本記事の事例は、複数のご相談内容をもとに、個人や学校が特定されないよう再構成しています。







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